賢い!楽譜選びの基礎知識

鍵盤音楽

 yahoo の知恵袋なんかでも良く眼にしますね、こういう質問。

「発表会でベートーベンのエリーゼのためにを弾くことにしました。沢山あるのでどれを選んで良いか分かりません、教えて下さい。」

 これ、返事としてはもちろん具体的な楽譜出版社の○○シリーズがお勧めです、っていう具合のベストアンサーが掲載されるわけですが、その理由として多くの著名なピアニストが用いているから、とか原典に忠実だからとか色んな能書きがタグされてきますね。でも,実はこれ、楽譜出版社という存在の何たるかを知らない事には中々やっかいな問題なんです。あったり前田のクラッカー(今でもあるんか?)、モーツァルトやベートーベンの時代にはレコード・CD・配信と、楽譜を音源化したパッケージソフトなんか存在してません。だから収入を楽譜の販売に頼る他ないから、出版してもらうためには楽譜出版社とそれなりに対峙してゆかねばならなかった。モーツァルトはステージパパのレオポルドから値踏みされぬよう厳しく言われていたはずなんだが、あっけらかんの天真爛漫さからか、あまり気にしていなかった様子。で、ベートーベンはそんな先輩を反面教師としたのかしないのか、多分していない、元々がドケチで有名だったもんね、脱稿の度に楽譜出版社と喧々諤々の駆引きしている。(のが結構笑える)

 左様、この時代の楽譜出版社って、今で言うレコード会社と同じ役割を持ってた。こんにちテレビといわずラジオといわず放送局が、例えば「武蔵野テレビ放送出版株式会社」なる子会社を(ほぼ)必ず持っていたり、またレコード会社や芸能事務所が所有する楽曲作品権を「出版権」と呼ぶ事に違和感や疑念をおぼえる方はおられるでしょう。だって「○○放送音楽出版社」って社名、イパ~ン的日本人の言語感覚ならば、「ん、音楽に関する雑誌や書籍を作る会社なんだな」、て思うっしょ?そう、思って当然これまた毎度当たり前田のクラッカー(くどっ!)。四角い楽譜がまぁるいレコード(やCD)になっても「出版権」てコトバを継承した名残りです。メイビー音楽出版社の社員でさえ、その語源を知らなかったりするんじゃなかろうか、いや、それどころか今この瞬間、「音楽雑誌作りたい」って若者が就活で音楽出版社の門をくぐって、トンチンカンなドタバタ面接が繰り広げられているかもしれない。

 このように、楽譜出版社って中々侮れない存在です。まずは彼ら、産業として儲けていくって事が最優先事情として存在してます。これは企業だし仕方ない。でも凄い文化だとも思うよ。なんせベートーベンの楽譜を最初に印刷・出版したブライトコップ社とか今でも存続してるんだから。江戸時代から続いてる出版社って、我が国では存在しないっしょ、恐らく。脱線し過ぎですね。一気に結論に行きましょう。ここではモーツァルトのピアノソナタ全曲集を買う場合の最低条件を例に。

「全音版の『ソナタアルバム』はゼッテーだめ!」

 理由 ・・・ モーツァルトはピアノソナタを作曲・出版していくに当たり、ピアノを教えていた子女たちの音楽的センス・知識も備わるよう周到な配慮を施していた。1番から6番までの調性は、ハ長調→ヘ長調→変ロ長調→変ホ長調→ト長調→ニ長調、という具合に第1番のハ長調を軸として第4番までを五度ずつ降下、5番と6番を五度ずつ上昇させる調性選択をしている。それなのに嗚呼なんたる事、上下2巻の全音版、第1巻の冒頭にイキナリかな~り後期の作品を置いてるではないか!

 モーツァルトの全作品番号はK.(ケッヘルって読みます)○○○、という三桁の数字が表されており、当然ながら数字の大きさが作品順を示してます、あくまでも「ほぼ」だけど。ピアノソナタ第1番ハ長調はK.279。それを全音はK.533 を初っぱなにしちゃってるんだ、良い訳無いっすよね?以下、サイト画面上読みにくくなって申し訳ないが、作者順(=ケッヘル順)/全音順、で比較してみる。(2巻は抜粋)

【第1巻】K.279/K.533 → K.280/K.330 → K.281/K.311 → K.282/K.333 → K.283/K.547a → K.284/K.332 → k.309/K.310 → K.311/k.309 → K.311/K.282

【第2巻】K.330/K.284 → K.331/K.280 → K.332/K.331 → K.333/K.576 (以下略)

 ごらんの通り、全音の曲順には全く脈絡がない。ん?でも「どうして(全音は)わざわざ順番を変えたの?」 ですって?うむ、ははっ、ま、それはそのぉぅ ・・・ そうね大体ね~~、何となく分かります分かりますよ。けど、別に知らなくたって良いでしょ、こんなこと。どうしても知りたいって方はコメントにどうぞ。個別にご返事します。餅、あくまでブログ主の憶測に過ぎないけどそれで良ければ。ではまた。              

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