濁る言葉

鍵盤音楽

 こんにちは。今日から神無月、そして今夜は中秋の名月、満月である。何故か月には身を正したくなる、何かを感じる。なので勝手に自分で「神聖なる宵の口」と想いて、和の💓を持ち、穏やかに過ごしたい。

 日本の歴史は、わりと明るいほうだと思う。そのうち古代史は特に強い関心が有る訳ではなかった。が、良く立ち寄る2 ~ 3のブログ、何故か古代史の引用がやたらに出てくる。お陰で何となく気になるようになってしまった。「しまった」と表現すると後悔しているみたいだが、う ~ んそうでも蟻そうでも梨。でも二点、かなり心に留まるテーマを持つに至った。一つは「邪馬台国」。勿論、自動的に「卑弥呼」も、である。これが日毎更新タイプのブログのワクで扱いきれないのは言わずもがな。いづれ連載の形で綴って行くことになるだろう。なので、今日はもう一つの興味である日本語 ~ やまとことば ~に触れる。複数のブログ主の曰く、日本語は極めて「人工的」な言語である、と。「人口」では無い、「人工」である、と。しかも最終的な成立、ちょいサプライズな程に新しいという。そしもう一点。古来の日本語(やまとことば)には、濁音と吃音が存在しなかった、ということだ。古文を読むと、まぁ無い、ということではないが、現在よりも遙かに少ないのは確かである。濁音に関しては、時代とともに段々増えていったのだ、と。そして濁音は清音のコトバと比べて、意味としても発声音としても文字通り「にごり」のニュアンスが込められている、という。如何にも「言霊」の世界の具現例だ。

 インペグ屋という仕事がある。まぁイパ~ンには殆ど知られていない。音楽業界に位置する極めてニッチな業務だ。かいつまんで言うと、レコーディングの現場にミュージシャンを手配するものだ。コンサートツアーのミュージシャン手配もやっている(と思う、Maybe)が、一般には録音のための手配として、業界では認識されている。だから、という訳でもないだろうが、余り大規模な会社はない。十人内外のスタッフが、多くて百人位の演奏者を有している、で最大規模だろう。大半は社長ひとり秘書ひとりで数名の奏者を回している、というのが現状である。白状するとインペグ屋、筆者も運営していた時代がある。これは少しでも内容に触れると、多くの人の知れるところとなるので、ここでは詳細を公表出来ないが。が、なぜそうなったか、というに、鍵盤弾きのエーギョーを受けるだけ受けていたら、ダブルブッキングしてしまったからだ。幸いこの時は直ぐに仲間内で現場を回すことが出来たのだが、一度やったのが運の付き、しばらく複数の現場から同時の演奏者依頼が相次いだのである。お声がけを待っていた身が一転、お声がけする立場に逆転したわけだ。が、そっか、こうして本意不本意にかかわらず、演奏家からインペグ屋になっていくものなのだな、と身に染みて理解した。

 ここまでの内容で、「音楽事務所(or芸能プロ)とどう違うの?」と思われた方はおられるだろうか。その方はスルドい!これは音楽に限らず、日本の芸術・芸能業界全般の構図に関わる問題だからだ。以前に、レコーディングエンジニア(ミキサーという略称で呼ばれる)とコンサート音響技術者 (PAという略称で呼ばれる)では業界が異なる、ゆえに双方を行き来する音響技術者は殆どいない、というのをご紹介した。また大手の声優事務所が「声優部門」と「ナレーション部門」のセパレート組織であることもお伝えしましたね。実は上の疑問、「違う」と同時に「違わない」という量子コンピュータの如き存在なのである。拙が時おり伴奏を務める女流ジャズシンガーがおられる。曰く「最初はバンド伴奏付きでRホテルのラウンジバーに出演していたの」だが段々「複数ミュージシャンのギャラが払えない」と言われて「弾き語り」しか雇ってもらえなくなった、という。が、彼女はピアノも弾けるので、「私も弾き語りで出演させて下さい」と支配人にかけあったところ、「では、こちらのオフィスのオーディションを受けて下さい。」と、名刺を渡された。その会社は『ホリプロ』だった、というのだ。そう、和田アキ子の、サマーズの、深キョンの、綾瀬はるかの天下の大プロダクションだ。実はこれ、構図としては、大手声優事務所と同様なのである。説明しよう。「声優」はスペシャルであり、「ナレーション」はルーティンワークである。「(芸能)タレント」はスペシャルであり、「エーギョー演奏」はルーティンワークなのだ。つまりこの業界、「特化(特価か?)」と「通常業務」の二本柱で運営する企業形態を取っている、ということである。ホリプロほどの大手がインペグ屋を兼ねている、というのは、にわかに信じ疑いだろう。が、こんにち見る芸能事務所は戦後、進駐軍ベースの余興者を渡辺プロダクションの渡辺晋が、通訳にジャニー喜多川を使いつつ送り込んでいたのが始まりである。その意味ではインペグ屋家業の方こそ、芸能プロダクションの原型と言えるのである。

 インペグ屋。なんか心落ち着かぬ響きだ。ハッキリと言い切れないけど、どことなく否定的感漂うシラブル。自分は直ぐに足を洗って、以来この業界に別れを告げた。もとより大した奏者ではなかったことは自分が一番解っていたし。インペグしてあげた仲間達の方が、その後も活躍を続けてくれていたのが、せめての救いだった。「ねぇ、本当は何ていうコトバ、てか単語の四文字略語なの?」左様、自分も餅、知らなかった。しかも当のインペグ屋やさん家業の方々、こう呼ばれるのを露骨に嫌悪しているのが分かった。彼等自身は「エージェント」と呼んでほしかったらしい、とうとう定着しなかったが。

 で、レコーディング業界のさる方に教えてもらってビク ~ リ。”INCSPECTOR”。インクスペクターの略である。つまりインペグと濁らず、インペクと発音するのが正しかったのだ。何なんだ之れ。当時のオレ、ぜってーインペグって聞こえたし、自分がそう呼んで只の一度も誰からも訂正もクレームも聞き返しも無かったし ・・・ 本当はどうなんだろう。サザンのミキサーやってたI先生に、今度会ったら聞いてみよう。でも濁んなくても良いモノが濁った、ていうのは言霊のなせる技。これからはちゃんと「インペク」と呼ぼう。って、もう残りの人生で使うことはなかろうな、去ってゆく貴方へ 濁る 言葉。

追記.とんねるずの石橋貴明氏が、楽屋落ちグループ・野猿のレコーディングで「アライが好かしてPA卓に座って」としゃべっていたシーンが放送されたことがある。が、レコーディングなので正確にはPA卓ではなく、レコーディング卓が正しい。が、音響卓をどちらも「PA」と呼んでいても特に問題にはされない。自分の「ぐ」と「く」も、そういう類いだったのかもしれない。

コメント

タイトルとURLをコピーしました